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OSRC » 過去の相談案件 » 退職前に年次有給休暇の残日数を全部取得
相談内容
従業員より退職日が決まると同時に、年次有給休暇の残日数を全てを取るとの届がありました。
業務の引き継ぎもできず困っています。このような年休の取得も認めなければならないのでしょうか。
回答
1. 年次有給休暇の行使
年次有給休暇は、労働基準法第39条により過去の勤務に応じて付与日数が定められ、労働者が就労義務のある日に「何月何日に年次有給休暇を取る」と時季を指定しすることにより指定日の就労義務を免れることができる権利です。
一方、使用者は、労働者の指定した日に年次有給休暇を行使されると「事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。」とした時季変更権を有しています。
労働者の年次有給休暇の時季指定に対し、使用者が時季変更権を行使しなければ、指定日に年次有給休暇を使って休むことができます。
2. 「事業の正常な運営を妨げる場合」
使用者に認められた時季変更権の「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、裁判例では「労働者の所属する事業場を基準として、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきである。」(此花電報電話局事件、大阪高裁 昭51年(ネ)第654号、昭51.1.31)としており、相当制約が厳しく判断されている。
3. 退職の前年次有給休暇の残日数の全部取得を認めなければならないか
前記2.に述べたとおり使用者には時季変更権があるとはいえ、相当厳しく判断され時季変更権を行使できる場合が少なく、仮に時季変更権を行使できたとしても、退職日後には就労義務のある日はないため退職日を超えて時季変更のしようがありません。
従業員があくまで年次有給休暇を取得するとするならば認めるほかありません。。
従って、退職する従業員に業務引継の重要性を説明し、話し合いの上取得日数を調整してもらうしか方法はありません。
この様なときのためにも、退職により失効した年次有給休暇日数を金銭評価して退職金等に加算するなどの制度を設けておく必要があるかもしれません。
なお、引き継ぎ完了をして退職するのが当たり前といった企業風土がないのが最大の問題かもしれません。
判例として平成4.6.23時事通信社事件で、会社が行った時季変更権の行使は不合理なものでとはいえず、適法であったという判決もあります。
実務者として少し年次有給休暇の形成権は強固過ぎると思われますので時季変更権の行使を促進すべきと思い変更通知書を例示してみました。
年次有給休暇の時季変更通知書
平成19年8月1日
年中 休武 殿
磁器偏向株式会社
代表 生涯 無休
貴殿から平成19年8月1日付けで届出のあった平成19年8月11日から9月30日までの年次有給休暇につきましては、下記の事業に正常な運営を妨げる事由があるため、他の時季に取得されるようお願いします。
記
<事業の正常な運営を妨げる具体的事由>
以上。
投稿者 亀楠 : 2007年08月01日 14:08